【インタビュー】山下良美氏|サッカー国際審判員 プロフェッショナルレフェリー

「できた」「やれた」を自分の中に積み重ねる

PROFILE

1986年東京都生まれ。4歳からサッカーをはじめ、大学卒業後、2012年に女子1級審判員の資格を取得。2015年、FIFA国際審判員に登録。2021年、Jリーグ史上初の女性主審、2022年FIFAワールドカップ史上初の女性主審のひとりに。2023年7月開催のFIFA女子ワールドカップでも審判員に選出された。

審判員になったきっかけは?

 審判員になれば、4歳からずっとやってきたサッカーに、これからもずっと貢献していけるのではないかなと思い、チャンスがあれば挑戦したいという気持ちが芽生えたことがきっかけです。2級審判員になってトップリーグに関われるようになったことが、自分の中では大きな変化でした。

苦労したこと感動したことは?

 毎回試合であれがダメだった、これができなかったという反省から立ち上がって、次の試合へ前を向くのは苦しいです。ただ、へこんでいるだけではダメで、試合を振り返って分析して、次回はより良いものにしなければならない責任があるので、毎回必ず試合を映像で振り返って分析するのですが気持ちを切り替えるまでが一番苦労をします。
感動したことは、2015年の女子サッカーの皇后杯決勝戦です。本当にたくさんの方が見に来てくださっていて、ずっとやってきた女子サッカーがこんなにも人を惹きつける力があるのだと強く感じました。審判員としてフィールドに足を踏み入れて周りを見た瞬間は本当に感激しました。一番印象に残っている感動した試合です。

試合ではどのようなことを念頭に置いていますか?

 試合中は全部予測して動く必要があります。次に何が起こりそうだからここに行っておこうとか、ここを見ておこうとか。審判員はプレーが見えなかったらジャッジできないので、見える所に絶対に居なければなりません。準備と予測する力が必要です。また、笛を吹いてカードを出すよりも予防する方が大事なので、カードを出さないように何ができるか、ファウルが起こらないように何ができるかを考えるのが重要な役割だと考えています。起こったファウルに対しては、競技規則に従ってジャッジをしますが、その前段階の方が大切なので、準備と予防をずっと考えています。

今後の夢や目標は?

 私は夢や目標を持たないタイプです。夢や目標があると、そこまでの道のりが長くて大変で、途中で嫌になったり挫折したりするタイプなので。今までも、目の前のことだけをやってきましたが、こういう立場になってからは、自分が今いただいている機会を継続させたい、この扉を開き続けていきたい気持ちがとても強くなっています。これからの目標は、今あるこの機会を継続させ、当たり前にしていくことです。

山下さんのハッピーの源は?

 私にも「できた」「やれた」という気持ちになった時が、一番ハッピーと感じます。大舞台で女性初の審判員として「できた」「やれた」と感じた時は、やはりハッピーになったので、挑戦や積み重ねが大切だと思います。今は、ジグゾーパズルにハマっているのですが、完成した時、かなりハッピーになります(笑)。

 トレーニングも絶対に達成できる目標しか決めません。例えば、今日はインターバル走を20本、次の日は少し体調が悪いから15本のように、下げてもいいから、とにかく一番に自分が「できた、やれた」と思える目標設定をしています。
常にこの「できた、やれた」が私の中のハッピーの基準になっています。

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